矯正歯科

Orthodontics

矯正歯科とは

Orthodontics

矯正歯科とは

矯正装置を使って歯並びと噛み合わせを整え、口元の見た目と歯の機能を改善する診療科目です。矯正歯科で行なう治療を「矯正治療」といいます。
矯正治療は、「きれいな口元になりたい」という思いから始める方が多いですが、矯正治療で得られるメリットは見た目の美しさだけではありません。歯並びが整うと、歯磨きがしやすくなるため、虫歯や歯周病のリスクも低減できます。また、噛み合わせが整うとしっかりと噛めるようになるため、栄養素の吸収率も高まります。とくに子どものうちに矯正治療をすることは、将来のお口と体の健康にとってメリットが大きいでしょう。
もちろん子どもだけでなく、健康な歯と歯肉があれば矯正治療はいつでも始められます。当院では、40代以上の方でもスムーズに歯を移動できる矯正治療にも対応可能です。歯並びや噛み合わせが気になったら、ぜひご相談ください。

悪い歯並びの種類

歯科の専門用語で「不正咬合」とよばれる悪い歯並びの種類には、おもに以下のようなものがあります。見た目だけでなく噛む機能や発音、お口の健康に悪影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。

  • 叢生

    叢生

    歯列がデコボコ・歯が重なっている
    (八重歯・乱杭歯)

  • 上顎前突

    上顎前突

    上の前歯が前方に飛び出ている
    (出っ歯)

  • 下顎前突

    下顎前突

    下の歯が上の歯より前に出ている
    (受け口・反対咬合)

  • 開咬

    開咬

    前歯だけが噛み合わない
    (オープンバイト)

  • 過蓋咬合

    過蓋咬合

    噛み合わせが深くて下の歯が見えない
    (ディープバイト)

  • 空隙歯列

    空隙歯列

    歯と歯の間のすき間が広い
    (すきっ歯・正中離開)

当院の矯正治療

Treatment

  • 表側矯正

    表側矯正

    矯正治療と聞くとイメージされる金属製のワイヤーと四角いブラケットによるオーソドックスな矯正治療です。歯の表面に接着させたブラケットにワイヤーを通し、引っ張る力で歯を移動させます。矯正装置は目立ちますが、ほとんどの症例に対応が可能です。また、ほかの矯正治療よりも治療費を抑えられるので、費用面を重視する方にも適しています。

  • 目立たない矯正

    目立たない矯正

    クリアブラケットとよばれる透明なブラケットを用いた矯正治療です。クリアブラケットは表側矯正で使用する金属製のブラケットと同じ構造ですが、透明なので歯の表側に取り付けてもあまり目立ちません。白いワイヤーを使用するとより審美性を高められます。治療費を抑えつつ、できるだけ目立たない矯正装置で治療したいという方におすすめです。

  • 舌側矯正

    舌側矯正

    金属のブラケットとワイヤーによる矯正装置を歯の裏側に装着し、歯並びを整える矯正治療です。舌側矯正は表側からは矯正装置がほとんど見えないため、矯正治療中であることが周囲に知られずにすみます。歯科医師に技術力が求められるので、ほかの治療法より治療費は高額になりますが、治療中の見た目を重視する方に人気です。

  • マウスピース型矯正装置による治療

    マウスピース型矯正装置による治療

    取り外し可能な透明なマウスピース型の矯正装置による矯正治療です。透明で目立ちにくいうえに食事や歯磨きの際には取り外せるので、治療中のストレスを軽減できます。また、マウスピースの弾性を利用して弱い力で歯を動かすため、治療中の痛みの軽減も可能です。ただし、症例によってはこの矯正装置だけでは治療できない場合もあります。その場合はほかの治療との併用も検討します。

  • 歯科矯正用アンカースクリューを用いた治療

    歯科矯正用アンカースクリューを用いた治療

    ワイヤーとブラケットによる矯正装置に、歯科矯正用アンカースクリューとよばれる小さなネジを併用する治療です。歯科矯正用アンカースクリューを顎骨に埋め込み、それを矯正装置の固定源とすることで、通常の矯正装置だけでは難しい方向にも歯を移動させられます。ダイナミックかつスムーズに歯を移動できるため、治療期間の短縮を図ることが可能です。

矯正治療の流れ

Flow

  1. STEP01

    矯正相談

    歯並びのお悩みや治療に対するご要望を丁寧にヒアリングします。また、選択できる治療方法や矯正装置の特徴、治療期間や費用についてご納得いただけるまでご説明します。

    矯正相談
  2. STEP02

    精密検査

    当院の矯正治療を希望される場合は、お口の状態を詳しく把握するために精密検査を行ないます。検査項目はレントゲン撮影、口腔内写真撮影、歯型とりなどです。

    精密検査
  3. STEP03

    治療計画の立案

    精密検査の結果と患者さまの要望をふまえて治療計画を立てます。治療内容や治療期間、費用の総額について充分に患者さまにご説明し、同意をいただいたら治療を開始します。

    治療計画の立案
  4. STEP04

    矯正治療開始

    矯正装置を装着し、歯を移動させていきます。矯正装置の調整や歯の移動のチェックをするため、治療中は定期的な通院が必要です。通院頻度は治療法によって異なります。

    矯正治療開始
  5. STEP05

    保定

    治療計画どおりに歯が移動し、歯並びと噛み合わせが整ったら保定へ移行します。保定とは、リテーナーとよばれる装置を装着して後戻りを防ぐことです。保定中も定期的に通院いただき、経過を観察します。

    保定

小児矯正

Orthodontics for children

小児矯正

永久歯と乳歯が混在している時期や、永久歯が生えそろってすぐのタイミングで行なう矯正治療です。成長期に行なう小児矯正は、顎骨が軟らかいためスムーズに歯を動かせます。また、顎の成長をコントロールして上下の顎のバランスを整えることや、永久歯が並ぶためのスペースを確保することも可能です。歯列の土台となる顎の状態を整えると、歯を抜かずに歯並びを整えられる可能性が高まります。

1期治療と2期治療について

1期治療と2期治療について

「1期治療」と「2期治療」の2つのステージに分けて治療するのが小児矯正の特徴です。1期治療は乳歯と永久歯が混在する時期に行なう治療で、永久歯の噛み合わせと歯並びが整うように土台となる顎の成長をコントロールします。2期治療は永久歯が生えそろってから行なう本格的な矯正治療で、成人矯正と同様に矯正装置を使って歯を移動させ、歯並びと噛み合わせを整えます。1期治療を行なうことで、2期治療を行なわずにすむケースもあります。

子どもの歯並びが気になる保護者の方へ

小児矯正を検討している保護者の方のなかには、「歯並びが気になるけど、様子をみるべき?」「まだ矯正治療をするには早い?」などの疑問があり、なかなか受診に踏みきれない方もいらっしゃることでしょう。お子さまのお口の状態によって、矯正治療を開始すべきタイミングは異なります。まずはお子さまに矯正治療が必要か、必要ならいつ開始すべきかを知るために、一度ご相談ください。

小児矯正装置の種類

  • 拡大床

    拡大床

    プラスチック製のプレートとネジで構成された矯正装置です。ネジを回すことで歯列に負荷をかけ、少しずつ歯列の幅を頬側へ拡げていきます。歯列を並べるためにスペースが必要な場合に使用します。

  • 歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)

    歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)

    おもに上顎前突(受け口・反対咬合)の治療で使用するマウスピース型の矯正装置です。この装置を就寝時に装着することでお口周りの筋肉のバランスを整え、噛み合わせを改善します。

    ▼ムーシールド(歯列矯正用咬合誘導装置) 管理医療機器 医療機器認証番号:21600BZY00593000

  • 急速拡大装置

    急速拡大装置

    金属のバンドとワイヤー、顎の幅を拡げる力を調節するネジで構成された矯正装置です。上の歯に金属のバンドを装着して固定し、装置の中央にあるネジを回すことで顎の幅を短期間で拡げていきます。

  • リンガルアーチ

    リンガルアーチ

    金属のワイヤーを左右の奥歯に固定し、歯の裏側にアーチ状にワイヤーを通すことで歯を動かす矯正装置です。前歯を前方に動かしたい場合や、奥歯を後方に動かしたい場合などに使用します。

矯正治療にともなう一般的なリスク・副作用
  • 機能性や審美性を重視するため、公的健康保険対象外の自費診療となり、保険診療よりも高額になります。
  • 最初は矯正装置による不快感、痛みなどがあります。数日から1~2週間で慣れることが多いです。
  • 治療期間は症例により異なりますが、成人矯正や永久歯がすべて生えそろっている場合は、一般的に1年半~3年を要します。小児矯正においては、混合歯列期(乳歯と永久歯が混在する時期)に行なう第1期治療で1~2年、永久歯がすべて生えそろったあとに行なう第2期治療で1~2年半を要することがあります。
  • 歯の動き方には個人差があるため、治療期間が予想より長期化することがあります。
  • 装置や顎間ゴムの扱い方、定期的な通院など、矯正治療では患者さまのご協力がたいへん重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
  • 治療中は、装置がついているため歯が磨きにくくなります。虫歯や歯周病のリスクが高まるので、丁寧な歯磨きや定期メンテナンスの受診が大切です。また、歯が動くことで見えなかった虫歯が見えるようになることもあります。
  • 歯を動かすことにより歯根が吸収され、短くなることがあります。また、歯肉が痩せて下がることがあります。
  • ごくまれに、歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
  • ごくまれに、歯を動かすことで神経に障害を与え、神経が壊死することがあります。
  • 治療中に金属などのアレルギー症状が出ることがあります。
  • 治療中に、「顎関節で音が鳴る、顎が痛い、口をあけにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
  • 問題が生じた場合、当初の治療計画を変更することがあります。
  • 歯の形状の修正や、噛み合わせの微調整を行なうことがあります。
  • 矯正装置を誤飲する可能性があります。
  • 装置を外すときに、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、補綴物(被せ物など)の一部が破損することがあります。
  • 装置を外したあと、保定装置を指示どおりに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
  • 装置を外したあと、現在の噛み合わせに合わせて補綴物(被せ物など)の作製や虫歯治療などをやり直す可能性があります。
  • 顎の成長発育により、歯並びや噛み合わせが変化する可能性があります。
  • 治療後に、親知らずの影響で歯並びや噛み合わせが変化する可能性があります。
  • 加齢や歯周病などにより、歯並びや噛み合わせが変化することがあります。
  • 矯正治療は、一度始めると元の状態に戻すことが難しくなります。
拡大装置による治療にともなう一般的なリスク・副作用
  • 機能的・審美的に仕上げるための治療なので、公的健康保険対象外の自費診療となり、保険診療よりも高額になります。
  • 固定式のものは、ご自身では取り外せません。
  • 装置後1週間ほどは、発音・嚥下時に違和感を覚えるほか、鼻や口元にツンとした痛みを感じることがあります。
  • この装置をつけた歯とその周辺の歯に痛みが生じることがあります。また、口内炎を発症することがあります。
  • 歯列が横に広がることで、一時的に前歯にすき間が生じることがありますが、時間の経過とともに自然に閉じてきます。
  • お子さまが治療に協力的でない場合、良好な治療結果を得られないことがあります。
  • 取り外し式のものは、毎日の装着を怠ると、良好な治療結果を得られないことがあります。
  • 食べ物が装置につきやすく、歯を磨きにくくなります。とくにワイヤーやねじの部分に汚れが溜まりやすいので、仕上げ磨きをするなどご家族のサポートが必要になることがあります。
  • 固定式ものは、歯磨きがきちんとできていないと虫歯を発症するリスクが高まります。
  • 生涯良好な歯並びであることを保証する治療ではありません。治療後、成長により不正咬合が現れることがあります。
  • 正しい使い方ができていないと、かえって悪い歯並びになってしまうことがあります。
  • この装置だけで、お口周りの問題をすべて解決できるわけではありません。
歯列矯正用咬合誘導装置(ムーシールド)による治療のリスク・副作用
  • 薬機法(医薬品医療機器等法)において承認された医療機器です。歯の誘導に使用します。
  • 機能性や審美性を重視するため、公的健康保険対象外の自費診療となり、保険診療よりも高額になります。
  • 就寝時に装置をお口に入れておく必要があります。
  • お子さまが治療に協力的でない場合、良好な治療結果を得られないことがあります。
  • 毎日の装着を怠ると、良好な治療結果を得られないことがあります。
  • 歯ぎしりなどによる強い力がかかると破損することがあるため、消耗の状況により、新しい装置と交換する必要があります。
  • 症状が改善されない場合、ほかの矯正治療に移行することもあります。
  • 生涯良好な歯並びであることを保証する治療ではありません。治療後、成長により不正咬合が現れることがあります。
  • 熱やアルコールへの耐性がないため、装置の洗浄には専用の薬剤を使う必要があります。